詞華集(2026/9)
幻桃168号より
平越真澄選
- 耀きながら身を捩りながら海高く跳ぶ・エナジーは爆づ(菅洋子)
- 白梅の枝にあまたの莟あり青磁の花瓶を明るめる午後(杉原たか子)
- ドア窓にぴったり顔つけ外を見る老い人ひとり昼のモノレール(宇都宮芳子)
- いまは亡き父母のため香を焚く紫煙にまかるるわが身も旧りて(長井那智子)
- ハイにさせ消費を促す企てか香水売り場は一階にあり(諸井敦子)
- ミントの茂みに朽葉色したオンブバッタのたり動きぬ啓蟄のあさ(池田和子)
- 紅梅は日毎にくすみ下草は春の嵐のなかに震える(橋本俶子)
- もろもろをかたづけながら片付かず服ひろげれば服の思い出(西城燁子)
- 西郷の猛攻に耐えし石垣を瞬時に壊す震度六強(水野福三)
- 亡きママへの感謝の想い記された手紙受け取る卒業の日(中垣健志)
- 生きものはみんなほろんでゆくのかなあたたかいこの日差しのなかで(岡部杏里)
- 音もなく雨ふりつづき音もなく惣兵衛川の水にまぎれる(柴田秀子)
- 想い出は脳の棚へと移動させ古いアルバム十字に縛る(原純子)
- 三月のあわただしき朝足元にクリスマスローズの花は静かに(国枝千代美)
- 鉢植ゑのあみがさゆりを持ちくるる花柄の杖携へて友(棚橋和恵)
