今月の短歌読書
- hirofunahashi
- 2024年10月9日
- 読了時間: 2分

堀田季何『俳句ミーツ短歌 — 読み方・楽しみ方を案内する18章』、笠間書院、 2023年。
今年三月に開催されました幻桃全国歌会でご講演下さった笹 公人さんの著書「シン・短歌入門」で紹介されていたので、さっそくアマゾンで購入しました。
著者の堀田季何(ほったきか)さんは今年のテレビ「NHK俳句」第一週の撰者としてもお馴染の方です。毎回、俳句の初心者向けに「脱ボン」を目指そうと、切れ味のよい解説で人気を博してみえます。本を読んだ限りでは、堀田季何さんは、俳人としての要素の方が歌人としてのそれよりも大きいのではないかとおもいます。しかしながら、歌人としても俳人としても第一線で活躍されている著者のような人は、少ないのではないでしょうか。著者ご本人の個人情報は、文芸関係以外は一切非公開となっており、謎めいた方ではありますが、プロフィールに拠れば幼少の頃より外国を含めた各地を転々とされたようで、学歴も超一流。お仕事も詩歌を中心に翻訳や多言語多形式での執筆活動をされている由。なかなかの逸材ぶりです。短歌は春日井 建、俳句は小澤 實に師事されたそうです。
著書では、短歌と俳句 — 七七のほか何がどう違うの?そもそもなぜ五・七なの?という素朴な疑問から、神代の和歌から近・現代短歌に至るまでの我が国の短詩型文学が辿った歴史が、著名な歌人・俳人の作品を通して、わかりやすく解説されています。著者の深淵で包括的な日本の詩歌に関する知識を余すところなく、平易な言葉で解説されているため、私のような初心者でも消化不良を起こすことなく読み進めていける本です。とくに俳句はいまや日本だけでなく、英語圏をはじめとする諸外国でHAIKUとして詠まれています。著者によると、海外で詠まれているHAIKUの二割程度が有季定型だそうです。俳句はHAIKUとして季語の意義を含め大きな転機を迎えているのではないでしょうか。果たして、短歌はというと俳句ほど知れ渡ってはいないですが、5・7・5・7・7の音節で英語で詠まれているTANKAをX(Twitter)などでも見かけます。さて今後、短歌もどうなっていくのでしょう。
著書でも書かれていましたが、この本を読み終えた後、短歌や俳句のことが「わかった気になれ」た気がします。一読の価値大いにありです。👍🏻👍🏻👍🏻👍🏻👍🏻
Comments